「香り」の残像

最近ハタチ前のかっこいいオトコの子が歌っている「香水」という歌が流行っているそうだ。そこで登場するドルチェ&ガッバーナの香りは彼にとって、失恋の香りである。

失恋は人間の話で、ここは植物や昆虫を語る場、植物や昆虫は「香り」どのように感じ、どのように使っているのだろうか?植物には花はあるが、鼻はない。

しかし、植物には香りに応答する能力がある。

例えば、植物は害虫に食べられると害虫に対する天敵集合の香りをだし、まわりの仲間植物に危険信号も送るコミュニケーションツールとして利用している。

さらに害虫にかじられた時と切断された時ではでは違う香りを出すという。前者は植物と昆虫にしか感じない香りで、後者は草刈りした後の緑の匂い、つまり人間でも感じる香りと考えれば理解しやすい。

ところで、もともと香りは植物にとって、害虫を引き寄せないようにするためのものであったが、ポリネータや天敵を呼ぶ信号となった。

しかし香りの残すことを選択した植物にとっては、害虫を呼ぶことになってしまう。香りは両刃の剣である。 

人にとって、うれしかったときの香りの記憶は少ないが、つらいときの香りは鮮烈に覚えているものである。

これは生き物みんな共通、植物、昆虫もおんなじなんだなあと思う。これを書き終える時にはどういうわけか、「みんなみんな生きているんだ友達なんだー」と手のひらを太陽にを口ずさんでいた。

参考文献 有村源一郎. 西原昌宏. 2018. 植物のたくらみ 香りと色の植物学. ベレ出版